一点ものの手提げや小物・洋服の展示販売
ステッチを刺し終え眺めているときわたしはいつも、野菜をみじん切りにして均しながら炒めるときのことを思い出します。刻んだ食材に油や調味料と熱が均等にゆきわたり混ざるのを見ていると気持ちがよく、穏やかな安心感に包まれる。それと似た心持ちがします。
あるとき、唐突なようですが、飼っている猫を撫でながらまたみじん切りのイメージが浮かびました。わたしの持てるやさしさを全部、細かく刻んで栄養にして、猫の身体にゆきわたらせることが出来たらいいのに、と。
そうして、自分が制作でやっていることもぜんぶ繋がっているのだと感覚的に思ったのでした。
大きな愛はなかなかむずかしいけれど、ちみちみと地味に均しながら作ったそれらがささやかな愛のようなものになっていたらいいなと思います。
鈴木いづみ SUZUKI IZUMI
Installation / Drawing / Sewing
静岡生まれ。布・紙などさまざまな素材を使ったインスタレーションとドローイングを制作。
袋と洋服を作る「ベベキ」としても活動している。